膝関節は日常生活においてもスポーツの場面でもなにかと負担のかかる関節です。
捻ってしまったりなど突発的な外傷もあれば、筋肉や腱、軟骨などに断続的に負担がかかり痛んでくるものもあります。
痛みの原因は何か、どの筋肉が硬くなり関節の動きを妨げているのか、弱くなっている筋肉はないか、股関節や足関節とのバランスはどうかなど細かく探っていく必要があります。
大腿骨(太もも)と脛骨(すね)の間にあり、クッションや関節の適合性を高める役割を担っている半月板が傷ついた状態。
体重がかかった状態で膝を捻ってしまう等で発生。
施術方針
①膝周囲の筋肉を緩める
→膝関節内が滑らかに動くようにすることで、半月板に対する摩擦を軽減させます。そして関節内への血流を促します。血流を良くしないと修復が進みません。
②股関節、骨盤周囲を緩める
→膝にかかる負担を分散させるために股関節などの可動性を高めることが大事になります。
※重度な損傷がある場合は手術により損傷部位の切除や縫合をする必要があるため、整形外科にて診察、検査することをおすすめします。
太ももにある筋肉の一部である縫工筋、薄筋、半腱様筋が付着する膝内側やや下(関節面よりも数センチ下)に慢性炎症がある状態。
膝の曲げ伸ばしの際に筋肉・腱と骨や膝内側側副靭帯がこすれて炎症が発生。
施術方針
①まずは運動を中止し安静にすることが第一
→炎症を起こしてますので更なる炎症を防ぎます。
②縫工筋、薄筋、半腱様筋を緩める
→膝内側につながる筋肉を緩めることで、患部にかかる摩擦刺激を低減させます。
③骨盤、腰、股関節周囲を緩める
→膝の局所にかかる負担を分散できるように、股関節などの可動性を高めることが大事になります。
④足部アーチの強化
→足首が回内足の場合(土踏まずがつぶれて体重が内側に落ちてしまってる状態)は足部や足首のトレーニングをして頂きます。そうすることで荷重時に脚の内側にかかる負担を軽減させることができます。
【半月板損傷】(上記に準ずる)
腸脛靭帯(臀部の外側から脛骨外側上部まで太ももの外側を縦に走っている筋膜様の繊維)と大腿骨外側上顆(膝外側少し上の出っ張り)が膝関節屈伸のたびに擦れ合い局所的な炎症が起きている状態。
施術方針
①腸脛靭帯の緊張を和らげる
→臀部の筋肉(大腿筋膜張筋や中殿筋など)をマッサージや鍼などで緩めます。
②大腿外側と内側の筋肉の硬さや筋肉の付き具合などバランスをとる
→股関節の外転筋と内転筋の強さが釣り合うと荷重時の安定感が増し、過度な筋緊張がなくなります。
③中殿筋(股関節外転筋)を鍛える
→中殿筋が弱いとすぐに筋肉疲労を起こし硬くなってしまったり、荷重の際に脚と股関節・骨盤の位置関係を保てなくなり、さらに筋緊張が増してしまいます。
膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)のすぐ下にある膝蓋靭帯が炎症を起こしているもの。
大腿四頭筋(前ももの筋肉)の柔軟性低下や使い過ぎが主な原因。
施術方針
①大腿四頭筋を緩める
→大腿四頭筋が疲労し硬くなっていると、膝蓋靭帯の張力が高まってしまい傷んできます。
②股関節、骨盤周囲、足関節を緩める
→膝だけの問題ではないので、隣り合う関節である股関節や骨盤周囲、そして足関節の可動性を高めることで、脚全体の連動性を改善し負担が分散するようにします。
③臀部やハムストリングスを使えるようにトレーニング
→日常や運動において大腿四頭筋(前もも)ばかり使ってしまうくせがついている可能性があります。股関節伸展の主動作筋である大殿筋やハムストリングスを使う意識付けが大事になります。
※セルフケアとしてはアイシングとセルフマッサージが大切になります。
大腿四頭筋のストレッチは膝蓋靭帯を牽引してしまうため、痛みがあるうちは難しいです。
成長期の場合はオスグッド・シュラッター病といって、膝蓋靭帯が付着するスネの最上部が出っ張って炎症を起こしてきます。
膝蓋靭帯炎との違いは骨の炎症という点です。