肩の痛み

肩の痛み

五十肩

 肩関節周囲炎。40~50代に多く発症する肩関節の痛みで、ある時に急に痛み出し腕を挙げたり後ろに回したりができなくなる。

 特に原因が見られない場合が多いのも特徴。腱板断裂や神経障害との判別が重要になる。

 

 治るのに数か月から年単位かかることもあります。

  • 初期は運動痛だけでなく安静時痛や夜間痛がある。ちょっとぶつかるだけで激痛
  • 数週間経つと痛みは軽減するが肩が挙がらない
  • 腕を後ろに回せない

 

施術方針

①初期は軽い刺激でほぐす

→初期は炎症が強く痛みが強いため、無理して施術しようとするとかえって炎症が増して痛みが強くなる場合があるため、刺激の弱い鍼施術をしたり硬くなっている筋肉を軽くほぐす程度にします。

 

 

②痛みのピークを越えたら積極的にほぐす

→時間が経ち痛みが落ち着いてきたら積極的にマッサージや鍼で肩関節の筋肉や肩甲骨の筋肉をほぐしていきます。

この時期になるとひどく悪化することはありませんので、ほぐしながらストレッチなども加えて可動域が広がるようにしていきます。

 

 

※あまり大事にし過ぎて動かさないでいると、拘縮が進んで回復に余計時間がかかってしまいますので、ご自身でも可動域を広げる体操をして頂きます。

頚肩腕症候群

 長時間のパソコン作業などで首から肩、腕にかけての筋肉が疲労を起こし、コリや痛みが出ているもの。画像診断上明らかな神経障害が無いもの。

  • 作業していると肩から腕がだるくなる
  • 次第にコリや痛みになってくる
  • 手の力が入りにくい感じがする

 

 

施術方針

①首や肩の筋肉を緩める

→長時間の同じ姿勢や作業で筋肉や神経が疲労を起こしてるため、マッサージや鍼などで硬くなった筋肉をほぐし、血流をよくしていきます。

特にポイントになるのが『斜角筋』という筋肉です。この筋肉の間を神経や血管が通りますので重点的に緩めます。

 

 

②腰背部、下肢を緩める

→実際には肩から腕だけでなく、背中、腰、脚の方まで筋肉が硬くなり血流が悪くなっているので、全身に対する施術が重要になります。そうして全身の循環をよくすることで回復力が高まります。

 

 

※また自力で身体を動かし血液をめぐらせることも大事ですので、運動をしたり仕事のちょっとした合間でも体操をして動かすことで予防していきます。

胸郭出口症候群

 肩から腕にかけて痺れや痛み、力が入りにくいなどの症状があり、画像診断上、頚椎などに以上のないもの。

 

 腕に行く神経は首の頚椎という骨の間を通り、首の筋肉の間を抜け、さらに鎖骨と肋骨の間を通り、また胸の筋肉の間を通り腕へと続いていく。

 

 その経路上で筋肉や骨からの圧迫を受けて腕に症状が出る。同じく血管も圧迫を受けて血流が悪くなっている。

 

※なで肩の女性や筋肉が太く強い男性などに比較的多い疾患です。

  • 腕がなんとなく痺れる
  • つり革を持っていると痺れてくる
  • 手をグーパーするとすぐに疲れる
  • 腕を挙げると脈が弱くなる

 

施術方針

 神経の経路上のどの部位で圧迫を受けているかで治療のポイントが変わってきます。

 

斜角筋症候群

→首の横から前側の筋肉で圧迫を受けている場合は斜角筋症候群といい、この斜角筋をマッサージなどでよくほぐしていきます。

 

 

肋鎖症候群

→鎖骨と肋骨の間で圧迫を受けている場合は肋鎖症候群といい、肩の位置が下がっていると症状が出やすいので、肩を下方に引っ張り下げてしまっていいる広背筋などをほぐしていきます。

 

 

過外転症候群

→胸の筋肉で圧迫を受けている場合は過外転症候群といい、小胸筋という筋肉により圧迫を受けてますのでこれをほぐしていきます。

 

 

※ただしほとんどの場合は上記に挙げた個別の筋肉が悪いのではなく、長時間の不良姿勢などにより首から肩、胸、背中など多くの筋肉が硬くなり血行不良を起こしてしまっています。

 

それらすべてをほぐしていき、姿勢も改善し、体操や運動をしていくことで改善していきます。

腱板損傷

 腱板とは肩甲骨と上腕骨をつないでいる組織で、4つのインナーマッスルの腱が板状に集まったものをいい、この組織が傷んだ状態。

 

 運動により肩を使い過ぎたり、使い方が悪かったり、転んで手や肩を着いたりすると発生します。

 

 五十肩と思っていたら実は腱板を損傷していたということもあります。

  • 腕を挙げようとすると痛い
  • 腕が挙がらず肩をすくめる動きになってしまう
  • 上げ下げでひっかかる感じ

 

施術方針

※もし自力で腕を挙げられない場合などは腱板断裂の可能性がありますので一刻も早く整形外科を受診してく下さい。

 この場合の挙げられないとは痛いからではなく、そもそも腕が持ち上がらない状態です。

 

①患部周囲に施鍼

→腱板が運動により微細な損傷を繰り返したり、突発的な外力で損傷し炎症を起こしてますので、まず炎症を鎮めるために患部やその周囲に鍼施術をします。

 

 

②肩関節、肩甲骨の筋肉を緩める

→肩関節(肩甲骨と上腕骨の関係)と肩甲胸郭関節(肩甲骨と肋骨との関係)の可動域制限を解消するために、肩周囲の筋肉はもちろん、脊柱周囲や胸筋などをほぐしていきます。

 

 

③骨盤、股関節周囲の筋肉を緩める

→全身の連動性を考えたときに、肩と股関節は影響し合いますのでそちらも十分にほぐし可動性をたかめていきます。

 

 

④腱板の強化

→損傷があると筋力低下や機能低下を起こしていますので、特にインナーマッスルのトレーニングをして頂きます。

 これは肩関節における動きの中で、上腕骨頭を関節の中心に保つという腱板の最も大事な役割を再獲得するために必要となります。